2015、ウィンブルドン
今年のフェデラーのウィンブルドンでの
闘いを見ていると、
特に準決勝のアンディ・マレー戦の
全盛期と変わらないような、
パーフェクトに近い試合を目にすれば、
今年こそは、
最も得意とするウィンブルドンで
史上最多となる通算8度目の戴冠を、
そんな期待に包まれるのも
無理はなかった。
今日新たな歴史が刻まれるかも
しれないと空気が、ウィンブルドンの
センターコートにも流れていた。
マレー戦のような戦いが
出来ていれば...
勝敗を分けるポイントはいくつか
あったと思う。
マレー戦のようなサーブが
出来なかった。
第1セット、ブレイクしたすぐあとに
ブレイクバックされた。
勝敗を分ける大事なポイントで
いくつかのイージーミスをした。
素晴らしいプレイの連続で
第2セットを奪い返したのに
第3セットに入ってすぐブレイクされた。
精神力が強靭な百戦錬磨の
フェデラーでも、
ウィンブルドンで優勝できる
最後のチャンスかもしれない
といいう状況の中、
3set目にブレイクされた時は、
少し弱気になったような気がした。
結果的に負けてもそんなフェデラーを
見たことがない気がした。
すの隙を実質世界ナンバーワンの
ジョコビッチが見逃すわけなく、
力でねじ伏せたような試合
だったように思う。
マレー戦のようにファースト
サーブが決まらなかったのも、
アンフォースとエラーが多かったのも、
ジョコビッチ相手にはそこまで
リスクを犯さないと勝てなかった
からだと思う。
ジョコビッチの優勝が決まった
瞬間のフェデラーの落胆とも
悲しみとも違う深い表情に、
どれほどの思いでこの決勝まで
来たのかの一旦が垣間見られ
胸が締め付けられるような思いが
した。
全盛期に劣らないような
決勝までのフェデラーの戦いは
34歳のそれではなかった。
しかし、またしても勝利の女神は
フェデラーに微笑まなかった。
ファンでとしてもショックだった。
けれど、暫くして、
フェデラーの試合後のインタビューを
聞いて段々と気持ちが変わっていった。
ウィンブルドンの観客は、
フェデラーのプレイひとつに一喜一憂し、
華麗なプレイをすると惜しみない拍手を送り、
ポイントを逃すと落胆の声を挙げた。
フェデラーは現役選手であるえkれど、
観客はもうフェデラーのことを、英雄と認め
讃えているそんな空気を感じた。
2011年の
ウィンブルドン女子の、クルム伊達公子と
ヴィーナス・ウイリアムスの一戦を思い出していた。
15年ぶりのセンターコートに立った
伊達公子は、観客にスタンディング・オベーション
で迎えられた。
パワーテニスの先駆者のヴィーナス・ウイリアム
相手に、
カウンターショット、サーブ&ボレー、スライス、ロブショットなど
多彩なプレイを戦術的に用いて、苦しい展開の中第1セット
をものにした。12年ものブランクのあと40歳でカムバックした
選手とは思えないプレイだった。
ウィンブルドンの目の肥えた観客が愛した、
クラシカルなプレイの数々。
伊達公子がポイントを決める度に惜しみない
拍手が送られていた。
スコア的には試合に惨敗した。
けれど
海外のメディアでは、
「テニスの貴婦人があと一歩で時計の針を
巻き戻すところだった」
「フェデラーやナダルがかすむほどの素晴らしい一戦」
と、その奮闘を賞賛した。
往年のチャンピョンや、フェデラーなど現役の
選手からも数々の労いの言葉を受けたという。
選手に何の非もないのだけれど、
私はパワーテニスが個人的に
余り好きではない。
正直なところ、ウィリアムス姉妹、
ジョコビッチなどの試合を見て感動した
記憶がないと思う。
決勝まで全盛期と違わぬ戦いぶりを
みていると、
ウィンブルドン史上最多の
通算8度目の戴冠を達成する、
新たな歴史が刻まれる瞬間に
立ち会えるかもしれないと
期待に胸が高鳴った。
スコア的には
実質世界ナンバーワンの
ジョコビッチが力でねじ伏せた
試合だったと思う。
事実上、フェデラーがウィンブルドン
で優勝する最後のチャンスだったかも
しれない。
ジョコビッチの優勝が決まった瞬間の
フェデラーの、悲しいとも、辛いとも
いえない、深表情が印象的だった。
34歳になろうという年齢で、
どれほど練習をして体をつくり
どんな思いでこの決勝の舞台
まできたのか。
何となく胸が詰まりそうで
辛くなった。
でも、翌日の
フェデラーのインタビューの
記事で気持ちが変わってきた。
ウィンブルドンの観客の
フェデラーへの惜しみない拍手。
フェデラーが華麗なプレイで逆境を
乗り越える度に観客は歓喜し、
ポイントを取られると落胆していた。
フェデラーがこの決勝で優勝することは
テニスファンにとってはこの上ない
2011年の、ウィンブルドン女子の、クルム伊達公子と
ヴィーナス・ウイリアムスの一戦を思い出していた。
結果的には惨敗したけれど、
ウィンブルドンの目の肥えた観客が愛した、
クラシカルなプレイの数々に会場は
スタンディングオベーションで彼女を讃えた。
海外のメディアでは、
「テニスの貴婦人があと一歩で時計の針を
巻き戻すところだった」
「フェデラーやナダルがかすむほどの素晴らしい一戦」
と、その奮闘を賞賛した。