幼少の頃から夜空を仰ぎ見るのが好きだった。
想像力はいつも、際限のない可能性を私に与えてくれた。
この幸福感を私は忘れない。
宇宙のことは未だに多くのことが
解明されていない。けれど、
夜空を見ると少し宇宙の断片に触れた気がする。
私はギラギラとポジティブな明るい太陽よりも
しっとりとした、控え目で繊細な夜の月を好む。
勇気のある人は、人生や恋や仕事や
あらゆることに勝利することだろう。
それは素晴らしいことだ。
けれど
太陽だけでも月だけでも宇宙の法則が
正しく運行しないように、
やはり世界には相反するものが
微妙なバランスで成り立っている。
ポジティブでアクティブなことはよいことだけれど、
そういうエネルギーも過剰になったら、
勇気やポジティブさも、独占欲や支配欲にその姿を変えることもある。
過剰に求め奪い合いや憎しみ合いや至上主義を倦むこともある。
私の最大の欠点は臆病だ。
それは欠点以外の何ものでもない。
得るべきものを得ず、
大切なものを失ったかもしれない。
けれど
繊細で危ういものとか、
目も合わせられない恋とか、
9月の通り雨とか、
切なさとか・・・
そういう中にしか存在
しないものもあるかもしれないと
思う。
静だが深く生きる。
人の不幸の上に自分の
幸福を築かないように
いつも大切な人たちの
幸せを願っている。
心のあり様は表面には顕れない。
私という人間が日の目を
みることはないだろうと思う。
歴史の片隅にもその名を刻むことも
ない。
でも私のこの世に生まれた目的は
それではないことを知っている。
そういう人生もあるだろう。
秋、夜空が澄んでいる
プラネタリウム秋の唱。